帰国子女向け教育、再生可能エネルギーで、より良い未来をつくっていく

帰国子女向け教育、再生可能エネルギー。時代の流れとともに生まれた事業

日本駐車場開発グループの教育・環境事業のビジネスは、現在、帰国子女向けの家庭教師事業と再生可能エネルギー事業があります。

教育事業を行うTCK Workshop(以下、TCK)は、海外子女・帰国子女を対象にしたオンライン家庭教師サービスです。社会がグローバル化する中、海外で活躍する日本人が増え続けています。そういった両親をもつ子ども達は、海外で教育を受けることになります。その結果、人格形成と学習を行う大切な時期に、母国語以外の言語を習得することで精一杯になり、異文化の中で居場所を見つけられず悩みをかかえる子ども達が少なくありません。適切な支援さえあれば幸せな子ども時代を過ごし、やがて海外での経験をギフトだと感じてもらえるようになるはず。自身も帰国子女である創業者の水田が、そういった想いからはじめた事業です。

一方の環境事業を行うスマートグリーンエネルギー株式会社は、日本駐車場開発グループの保有する広大な自然資源をベースに、二酸化炭素(CO2)を出さない地産地消の小型再生可能エネルギー供給に取り組んでいます。スキー場やテーマパークの運営において自然の活用、自然との共存、地域社会の活性化に向き合ってきた日本駐車場開発グループの強みを生かして日本のエネルギー問題の課題解決に貢献し、カーボンニュートラルな社会の実現を目指す環境事業です。

教育事業の取り組みについて

帰国子女として悩んだ経験から、このサービスを立ち上げました

水田:私は5〜10歳の間、NYで過ごしたのですが、バイリンガル教育や、自由の国アメリカと協調性を重んじる日本、両方の文化の間で悩むことがたくさんありました。帰国子女といえば、一般的には恵まれた環境だと思われることも多いのですが、私と同じように悩みを抱える子どもが少なくありません。また、2カ国語を同時に学ぶため、両方とも常に100点を取れる子はまずいません。必ずどちらか、あるいは両方の学習が遅れる傾向にあります。「もしあの時、同じような経験をもつ大人から励ましてもらい、適切な支援を受けていたら、あんなにつらい思いをしなくても済んだはず」。そんな想いからTCKを立ち上げました。TCKの先生はほぼ全員帰国子女のため、海外子女・帰国子女の子ども達の気持ちが痛いほど分かる先生たちばかりです。親も子どもの将来に不安を抱えているため、子どもだけでなくご両親とも密にコミュニケーションを取りながら支援を進めていきます。それによって、生徒さん自身はもちろん、家庭の雰囲気も良くなっていくところをたくさん見てきました。 そして、なによりも大切にしているのは、海外で育った経験は困難なことだけでなく、かけがえのない経験も与えてくれると伝えていくこと。海外で育った経験を持つ人の多くは、多様な経験から自分と異なる考えであってもすぐに悪意とは受けとめません。なぜそう考えるのかを聞き出し、自分の意見も伝える。そうやって問題を解決する力を養っているのです。こういった高い異文化理解能力は、今後の国際化社会においてきっと役に立つはず。海外子女・帰国子女の子ども達が大人になり、世界中の人々の架け橋になっていく。TCKは、そんな支援ができる事業だと思っています。

日本に異文化理解能力をもつ人を増やし、世界とともに成長していきたい

水田:日本では年間約1万人の帰国子女が帰国しています。2018年5月時点で、TCKは世界約25か国で150名の生徒様を指導しています。まだ困っている家庭がたくさんあるため、今後はより多くの方にサービスを提供していきたいと思っています。そして、いずれはTCKを利用した生徒や先生たちが情報交換できるコミュニティをつくりたいと考えています。私たちが大切にしているのは、学習支援だけでなく、異文化理解能力をもつ人材を育成すること。将来はそれに特化したカリキュラムをつくっていく予定です。世界の人々にとって、日本は独特の人間関係のルールや仕事観をもつ国です。異文化理解能力をもつ人が日本に増えれば、世界中の人たちと協働し、お互いの良さを引き出せる人が増えるはずです。TCKは日本駐車場開発グループにとって新しい、まだまだ小さい事業ですが、きちんとビジネスとして継続し、拡大していくことが重要だと考えています。やがて帰国子女の子ども達が成長し、社会の中で活躍していく。そのためにも、より良いサービスを提供し多くの子ども達に喜んでもらい、事業を拡大させていきたいと思っています。

環境事業の取り組みについて

大自然の中で大量の化石燃料を消費しているからこそ
地産地消の小型再生可能エネルギーの先駆者になる意義がある

渥美:日本国政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルな社会の実現を目指すことを宣言し、脱炭素化が不可避の流れの中、日本駐車場開発グループは2022年、スマートグリーンエネルギー株式会社を立ち上げました。日本駐車場開発グループが以前より積極的に展開してきたスキー場事業、テーマパーク事業は、自然の活用、自然との共存、地域社会の活性化をテーマに、森林や川、湖といった自然豊かな環境の中で展開してきましたが、ガソリン、重油のような化石燃料由来エネルギーを非常に多く使うという特徴もありました。だからこそ、日本駐車場開発グループが所有している広大な森林や土地といった自然資源をもとに再生可能エネルギーに積極的に投資をし、二酸化炭素(CO2)を出さない地産地消の小型再生可能エネルギーをグループに供給することが不可欠だと考え、グループ全体の環境問題に特化して取り組む新会社を設立しました。日本ではこれまで、大企業と国が協働した大規模発電や大がかりな電力供給プロジェクトが主流でしたが、私たちが取り組んでいるのは、自分たちで作った電力を自分たちで消費する地産地消の小型の再生可能エネルギーです。保有施設の近くに小型の発電機を設置すれば、送電設備も不要で送電コストもかかりませんし、発電機を分散することで災害リスクに強くなるというメリットもあります。エネルギーに関する同様の課題は私たちだけではなく、日本中のスキー場やテーマパークが抱えています。自社で開発した商品をまずはグループの保有施設に導入し、ノウハウを蓄積した後に、同じような課題を抱える当社グループ以外の施設にノウハウ提供したり、サービス展開したりすることを考えています。

渥美:日本駐車場開発グループは全国10箇所のスキー場やテーマパークを保有し、周囲の山林オーナーや自治体との関係性を築いてきました。まずはこれらの場所で脱炭素に向けた投資を行い、栃木県や長野県では山林資源を生かした小型のバイオマス発電機のプロジェクトがスピード感を持って進行しています。2023年中には、常時50世帯に電力を、60世帯に熱を提供できるヨーロッパ製の小型バイオマス発電機を、第一号として那須ハイランドパークの宿泊施設・貸別荘の近くで稼働させる予定です。スキー場やテーマパークでは、太陽光発電機を設置して、保有施設に電力を提供するプロジェクトの実験も進めています。太陽光発電のパネルは1枚から設置できますし、日中に電気を使用するあらゆる事業に活用できる可能性があります。現在は、時間帯別のエネルギー消費量や日照時間のデータなどを取りながら、ベストな投資方法を検討しています。太陽光パネルの設置は、商業施設やホテル、官庁などの駐車場をお借りして運営している駐車場事業へも活用できます。駐車場の上に屋根を設けて太陽光パネルを設置することで電気自動車の充電が可能になりますし、近隣の施設にもエネルギーを供給することができます。オーナー様のご要望をお聞きしながら、設置に向けてプロジェクトを進めています。また、全国8箇所のスキー場では、近隣の山間地の高低差を活用した小水力発電機の設置も検討していますし、保有する土地の近隣の山を買い取り、間伐と植林によって荒れた山林を育て、CO2を吸着させる活動にも取り組んでいます。地球環境に負荷をかけない再生可能エネルギーでスキー場や別荘地を運営することはブランド価値を高め、エコ意識の高いスキーヤーや別荘オーナーの方々にも気持ちよく使っていただけると考えています。再生可能エネルギーが社会全体に広がっていくためには、国の方針だからと義務的に取り組むのではなく、ビジネスとして成り立たせ、民間のパワーを示すことが必要です。大自然の中で大量のエネルギーを消費する事業を行っている私たちだからこそ、取り組み、成し遂げ、先駆的なモデルになることができます。幅広い方々に対して貢献することで、日本の社会課題のソリューションにしていきます。


※掲載情報は取材当時のものです。

PROFILE

株式会社TCK Workshop
取締役ファウンダー
水田(熊谷)早枝子

2007年東京大学経済学部卒業。外資系消費材メーカーに入社後、2013年フルブライト奨学生としてハーバード大学経営大学院入学。2015年ハーバード大学経営大学院卒業。MBA取得。 2014年日本駐車場開発100%子会社としてTCKワークショップ設立。

スマートグリーンエネルギー株式会社
代表取締役社長
渥美 謙介

2007年、慶応義塾大学卒業後、日本駐車場開発へ入社。2011年、新卒入社5年目で子会社「日本自動車サービス株式会社(現:日本自動車サービス開発株式会社)」を設立し、代表取締役社長に就任。2018年10月、日本駐車場開発株式会社常務取締役管理本部長に就任。日本スキー場開発株式会社取締役、日本テーマパーク開発株式会社取締役を兼任。2022年、スマートグリーンエネルギー株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。