アジアの経済成長の中で、駐車場ビジネスにチャレンジしたい

日本での成功をもとに、タイへ

「日本の都心のランドマークとなるような、主要なビルの駐車場を運営したい」。社長の巽が駐車場のサブリース事業をスタートした頃から、そんな目標を胸に抱いていました。一つひとつ物件を取得し結果を出す中で、目標としていた主要なビルの駐車場物件を取得することができ、アジアの国々への展開を目指すようになりました。経済成長率が著しい国は、ビルや車も増えるため、絶対に駐車場のニーズがあるはずです。そこで2010年頃、成長率3~10%を越えるASEANの加盟国を中心に調査を進めました。当時、シンガポールには私たちがターゲットとするような高層ビルがたくさんありましたが、都心部にはすでに日本と同じくらいの料金で駐車場を借りる人がいる状態です。そこで、グローバル展開の候補としたのは、今後数年で駐車場料金が数倍に成長する可能性のある国々でした。サブリース事業を行うには、経済成長のタイミングが重要なんです。2010年、タイに現地法人を設立し、約8年で延べ40物件以上を取得。そして、首都バンコクのランドマークとなる主要なビルの駐車場運営も獲得することができました。今後、フィリピン、ベトナム、ミャンマーなど、アジアの国々で更なる発展を目指していきます。

グローバル事業の取り組みについて

駐車場ビジネスを通して、アジア 国々から事故や渋滞を解消したい

川村:日本駐車場開発では、都心のビル内の駐車場のサブリース事業に注力してきましたが、日本最高峰のビルとして目標にしていたビルの駐車場物件を取得し、2005年に東証1部上場を果たすと、次の駐車場ビジネスの目標をアジアの国々への展開へと定めました。2010年にタイに現地法人を立ち上げた時、タイの駐車場は月額3000円程度。日本の1/10の基準です。今後数年で駐車場料金が数倍に成長する可能性のあるタイでチャレンジしてみたい。そんな想いから、初の現地法人を設立しました。海外で事業を展開するにあたっては、自身の思い入れのある国でなければ絶対に成功しないと思っているので、その国でやってみたいと思う人がいることを何より大切にしています。私もタイの温厚でのんびりした雰囲気が好きなので、最初にチャレンジするならタイでやってみたいと思いました。2018年現在、延べ40物件以上を取得しました。当初の予定からすると、かなり遅いペースです。日本でのノウハウを生かしてもう少し早いペースで進められると考えていたのですが、駐車場ビジネスはその国の経済発展と直結しており、またそれぞれの国に法規制もあります。想像以上に困難なことがたくさんありました。

川村:タイで駐車場事業をはじめた頃、「駐車場管理なんてもうやってるよ」と多くのビルオーナーは言いました。すでに駐車場があり、車の出入りもあり、警備員がいる。それ以上のニーズをもっていなかったんです。ビルのオーナーは運転手に車を運転させて玄関で降りるため、駐車場が汚れていたり、暗く危ない場所であることを知らないんですよね。当初の予想を越える困難さでしたが、ひとつずつプロジェクトを重ね、物件数を増やしてきました。その結果、多くの駐車場の売上を伸ばすことができたんです。海外での展開において、リスク管理等、必ず身につけないと行けない独特の感覚値があります。今後、タイは、海外展開にむけた人材を輩出する拠点にしたいと考えています。また、タイではトヨタ自動車グループとともにバンコク中心部の渋滞解消プロジェクトにも取り組みました。郊外から中心部への車両流入を減少させるためのパーク&ライド用の駐車場を15カ所(2,794台)開設し、中心部の主要駐車場のリアルタイム満空情報をアプリで発信することで、目に見える結果を出すことができたんです。今後アジアの国々では、必ず駐車場が必要とされます。単に海外への事業展開としてだけではなく、その国の課題を解決するような事業にしたいですね。そして、数10年にはその国の歴史の教科書に載るかもしれない、という野望も密かにもっているんです(笑)。

※掲載情報は取材当時のものです。

PROFILE

NIPPON PARKING DEVELOPMENT
(THAILAND) CO., LTD.
PRESIDENT&CEO
川村 憲司

1991年日本駐車場開発入社。 商社勤務時代は鉄の輸出で世界中を飛び回り、 販売記録を更新するなど常に営業の最前線で活躍。 日本駐車場開発入社後は、持ち前の営業力で 新しいビルオーナーを開拓し、今の駐車場事業の地盤を作った。