大自然の中で大量の化石燃料を消費しているからこそ地産地消の小型再生可能エネルギーの先駆者になる意義がある

再生可能エネルギー、カーボンニュートラルな社会の実現を目指す事業

環境事業を行うスマートグリーンエネルギー株式会社は、日本駐車場開発グループの保有する広大な自然資源をベースに、二酸化炭素(CO2)を出さない地産地消の小型再生可能エネルギー供給に取り組んでいます。スキー場やテーマパークの運営において自然の活用、自然との共存、地域社会の活性化に向き合ってきた日本駐車場開発グループの強みを生かして日本のエネルギー問題の課題解決に貢献し、カーボンニュートラルな社会の実現を目指しています。

環境事業の取り組みについて

大自然の中で大量の化石燃料を消費しているからこそ
地産地消の小型再生可能エネルギーの先駆者になる意義がある

渥美:日本国政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、カーボンニュートラルな社会の実現を目指すことを宣言しています。脱炭素化への流れが不可避な中、日本駐車場開発グループは「2030年NPDグループのカーボン排出マイナス100%」の実現を目指し、2022年にスマートグリーンエネルギー株式会社を立ち上げました。NPDグループが展開するスキー場事業、テーマパーク事業は、自然の活用・共存、地域社会の活性化をテーマに、森林や川、湖といった自然豊かな環境の中で展開してきました。しかしその一方でガソリン、重油のような化石燃料由来エネルギーを多く使うという特徴もありました。そこで着目したのが再生可能エネルギーです。NPDグループが所有する広大な森林や土地といった自然資源を活用し、二酸化炭素(CO2)を出さない地産地消の小型再生可能エネルギーをグループに供給することが不可欠だと考え、グループ全体の環境問題に特化して取り組む新会社としてスマートグリーンエネルギー株式会社を設立したのです。日本ではこれまで、大企業と国が協働した大規模発電や大がかりな電力供給プロジェクトが主流でした。私たちが取り組んでいるのはそれとは違い、自分たちで作った電力を自分たちで消費する地産地消の小型の再生可能エネルギーです。NPDグループの保有施設の近くに小型の発電機を設置すれば、送電設備が不要で送電コストもかかりません。発電機を分散することで災害リスクに強くなるというメリットもあります。エネルギーに関する同様の課題は、私たちだけではなく日本中のスキー場やテーマパークが抱えています。自分たちで開発した商品をまずはNPDグループの保有施設に導入し、ノウハウを蓄積した後に、同じような課題を抱える日本中の施設に展開することを目指しています。

小型バイオマス発電、ソーラーカーポート、
小水力発電など、自然資源を活かす取り組み

渥美:日本駐車場開発グループは全国10カ所のスキー場やテーマパークを保有し、周囲の山林オーナーや自治体との関係性を築いてきました。まずはこれらの場所で脱炭素に向けた投資を行っています。中でも、栃木県や長野県での山林資源を生かした小型のバイオマス発電機のプロジェクトがスピード感を持って進行しています。2023年には第一号として、那須ハイランドパーク内の宿泊施設・貸別荘付近で、常時50世帯に電力を、60世帯に熱を供給できるヨーロッパ製の小型バイオマス発電機を稼働させました。その他にも、乳製品の加工・保管庫に併設したバイオマス発電所もあります。また、遊園地の駐車場を活用したソーラーカーポートなども稼働しています。ソーラーカーポートは、商業施設やホテル、官庁などの駐車場をお借りして運営している駐車場事業へも活用できます。それによって電気自動車の充電が可能になり、近隣の施設にもエネルギーを供給することができます。現在、時間帯別のエネルギー消費量や日照時間のデータからベストな投資方法を模索し、さまざまな駐車場オーナー様とともに設置に向けてプロジェクトを進めています。また、全国8カ所のスキー場では、近隣の山間地の高低差を活用した小水力発電も検討しています。保有する土地の近隣の山を買い取り、間伐と植林によって荒れた山林を育て、CO2を吸着させる活動にも取り組んでいます。このような地球環境に負荷をかけない再生可能エネルギーでスキー場や別荘地を運営することは、ブランド価値を高め、エコ意識の高いスキーヤーや別荘オーナーの方々にも気持ちよく使っていただけるはずです。再生可能エネルギーを社会全体に広げるには、国の方針として義務的に取り組むのではなく、ビジネスとして成り立たせ、民間のパワーを示すことが必要です。大自然の中で大量のエネルギーを消費する事業を行っている私たちだからこそ、先駆的なモデルになることができると考えています。

地域のステークホルダーと共に
持続可能な地域をつくっていく

渥美:スマートグリーンエネルギー株式会社の子会社として、スマートグリーンエネルギー那須に続き、2024年に群馬県片品村でスマートグリーンエネルギー片品を設立しました。2017年にスキー事業をクローズし、解体予定となっていた旧ほたか牧場スキー場の施設を発電所へ転用し、旧ゲレンデエリアでの植林事業も進めています。また、日本各地で山林の荒廃が社会課題となり、獣害や送電線の倒壊による停電のリスクなど、人々の生活を脅かしていますが、間伐材をバイオマス発電用の木質チップとして活用できればこの問題も解決できると考えています。発電の原料である木質チップは、片品村の農建課・総務課と連携の上、切り捨て材や樹齢雑木林等、間伐や皆伐が必要な木材資源を利用しています。そして、再生可能エネルギー由来の電力は、主に村の公共施設に提供する予定です。こうして得た施設運営収益から植林や間伐などの森林整備につなげていく、地産地消・循環型の持続可能な地域づくりを目指しています。建物の施工や山林の調達は、片品村や村の関係各法人、協会等と提携し、オール片品チームを組成しプロジェクトを進めて参ります。今後はこのような成功事例とノウハウを活かして、NPDグループ以外の企業や団体にも事業を展開し、再現性と持続性のあるビジネスを通じて社会貢献を目指していきます。


※掲載情報は取材当時のものです。

PROFILE

スマートグリーンエネルギー株式会社
代表取締役社長
渥美 謙介

2007年、慶応義塾大学卒業後、日本駐車場開発へ入社。2011年、新卒入社5年目で子会社「日本自動車サービス株式会社(現:日本自動車サービス開発株式会社)」を設立し、代表取締役社長に就任。2018年10月、日本駐車場開発株式会社常務取締役管理本部長に就任。日本スキー場開発株式会社取締役、日本テーマパーク開発株式会社取締役を兼任。2022年、スマートグリーンエネルギー株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。2023年スマートグリーンエネルギー那須設立、代表取締役社長。2024年スマートグリーンエネルギー片品設立、代表取締役社長。